平成6年に競馬専門紙“勝馬”(編集部編)が発行した贈呈本の小冊子が手許にある。
この本の目次で「レース短評で波乱度がわかる」を開くと、波乱項目が連ねてある。
それを挙げると、「軸不動・順当・小波乱・中波乱・伏兵揃・混戦・激戦」の7項目。今、これに「波乱含み・力接近・上位拮抗」が加わって全部で10項目。(まだあるかも知れません?)はてさて、これを見る読者はどう対応しているのだろうか。私は疑問を抱く。
また、誰の発明かわからないが、◎○▲△×印。これらは先の語句も含めて、すべて曖昧模糊としたものではないのか。なぜならその個々の印・語句に数値的裏づけは何も施されていない。それを知りながら、この“魑魅魍魎の妖怪”に惑わされている競馬ファンは多い。
故大川慶次郎さんが、テレビで「新聞の印は見えないように何かで隠してから予想して欲しい」と言ったのを覚えている。ひょっとすると、この印は馬に与えられた“勲章”なのかも知れない。そう解釈しましょう。
各紙の波乱度や“勲章”を見るより、「その日」に行われる、「そのレースだけ」の単勝・複勝オッズを見たほうが、数値的裏づけがきちっとなされている、と私は思うのだが。