1994年JRA馬事文化賞受賞、「広く天下の優駿を求む」(プレジデント社)の作家、岩川隆さんが書いた「馬券学入門」(中公文庫、1987年)から一節を引用させていただく…。
「――従来にない発想と感覚を というのが私のねらいであった。
こちらは専門記者でも評論家でもないのだから、的中しなかったからといって恥じることはない。しかし、かねてから、馬の状態、調教、実績、厩舎談話だけに終始している競馬情報に私は不満を抱いていた。ほかの世界には、あらゆる角度からの情報が氾濫しているというのに、競馬や馬券の世界にはなんと旧態依然とした、パターンにはまった情報が多いことか。あまりに世界が狭い。―― 」
まったくの同感である。
わたくしが〈RFC〉をはじめた、そもそもの始まりはマスコミ予想のマンネリ化を打破する狙いと、もう片方は単勝オッズの不可思議さにあった。
不思議のひとつは、競馬場で馬券発売が開始されると同時に、電光掲示板にパッと単勝オッズが表示されること。ふたつには、専門紙やスポーツに単勝オッズがすでに掲載されているという疑問。競馬をはじめた当時、単勝オッズの数字は、単勝馬券を買った人の投票数で決まるのでは?と、疑問を抱いていたが、いまでも明確な答えがわからないでいる。
その日の単勝オッズの増減は、株価の動向を見るのと同じで、その上下値で馬の良し悪しが、また、その馬の馬券を買うか買わないかを決める重要なファクターなのである。